分光光度計って何だろう?
光度計と一言でいっても多岐にわたるため、一から説明すると果てしない量になってしまいますね。
なので、このページでは、弊社オガワ精機 国内第二営業部で取り扱っている光度計に関して簡単に説明していきましょう。
取扱光度計一覧
まずは下記比較表から概要だけを比較してください。
細かい内容は下へスクロールしてみてください!
メリット |
デメリット |
選択基準 |
|
分光 光度計 |
①感度は高い ②比較的安価で操作は簡単 ③物質の吸光度は全世界共通なので他機種と比較が容易 |
①他の物質が試薬に入ると定量分析に向かない ②セル等の汚れが原因で測定誤差が発生しやすい |
①初期費用をできるだけ安く済ませたい ②単純に試料の濃度測定だけをする |
①様々な原子化方法(上記)で多様なニーズに対応 |
①多元素の同時測定には不向き |
①多様な元素測定したい ②より細かい検出結果(スペクトル)を確認したい |
|
炎光 光度計 |
①特定の多元素の同時測定が可能 ②ランプ不要 ③比較的安価で操作は簡単 |
①測定元素が限られる ②ガス準備が必要 |
①多元素の同時測定で作業時間の短縮をしたい ②単一成分の試料作成などの下準備の削減 |
蛍光 光度計 |
①単一成分の試薬準備が不要 ②分光光度計より高感度 ③低濃度試薬では高感度 |
①蛍光しない物質等には向かない ②高濃度試薬では低感度 ③機種ごとの蛍光強度の比較が困難 |
①蛍光する物質のみ測定する ②他の光度計と比較してもより高感度が欲しい |
分光光度計とは?
分光光度計は光の吸収具合により物質の濃度や特徴を確かめる測定器です。光には可視光線と不可視光線(目に見える・見えない)の二種類の光があります。目に見える可視光線は虹の7色に分かれており、目に見えない不可視光線には「赤外線」と「紫外線」があります。
光が水を通過する際に 光の通り易さを示す透過性という尺度があります。光が通過する水に色がついている場合、その色が濃くなるほど光の透過性(光の通りやすさ)は低くなります(濁っているプールの底は見づらいですよね?)。このような光の種類と透過性の原理を利用した分光光度計は、光源の中から特定の波長の光線だけを取りだす「分光器」と、取りだされた波長の光線が測定物質をどのくらい透過したかを測定する「光度計/検出器」からできています。
濃度を調べたい物質が溶けた水溶液(試料)に 光を当てると、一定量の光が水溶液によってさえぎらます。これを「吸光度」といいます。分光光度計はこの吸光度も検出器で数値化するので、その数値の高低からその水溶液に溶け込んでいる物質の濃度も分かります。これは、水溶液の中の光を吸収する成分と吸光度が比例しているためです。この原理から、予め濃度が分かっている同じ物質の溶けた水溶液を標準試料としてもちいることで、新に測定した水溶液の吸光度を比べればその水溶液中の物質の濃度が分かります。これが、分光光度計の仕組みです。
【分光光度計の簡易メカニズム図】
お取扱してる分光光度計のページは「こちら」
原子吸光光度計とは?
原子吸光光度法は、試料に熱を加えて原子−原子間結合を切断し、原子蒸気とし、そこに光を照射して吸光度を測定することで元素量を分析する手法です。原子はそれぞれ固有の吸光度を持っているため、特定の元素の濃度を測ることが可能となります。原子吸光分析法は非常に高い感度を持つため、微量元素の分析に用いられることが多いのです。
試料原子化方法の例
・フレーム方式:炎中に噴霧し原子化
・電気加熱方式:電気加熱炉で原子化
・水蒸気方式:還元気化/加熱気化で原子化
(他にもあるよ)
光源には測定対象となる原子の輝線(原子がエネルギーの高い状態からもとの状態へと遷移するときに放射する光)のみを出す測定原子と同じ元素を封入した中空陰極ランプが用いられます。そのため、原子吸光光度法は、多元素同時測定には向かないのです。
【原子吸光光度計の簡易メカニズム図】
お取扱してる原子吸光光度計のページは「こちら」
炎光光度計とは?
炎光光度法とは、原子吸光光度法の中のフレーム方式の事です。(原子吸光光度法については上を参照)
では、原子吸光光度法と測定内容は同じでは?と思われるかと思います。確かに基本的に原理は同じです。
ただし、弊社取扱している炎光光度計は特定の光源を使わずに、調べたい物質の含まれた水溶液を直接炎に噴霧する際に起こる炎光現象により発される光線の波長を光学フィルターを介して検出器で読み取るため「多元素を同時に分析することが可能です」 原子吸光光度法は 測定したい元素に合った 中空陰極ランプを使用して特定の光(波長)を分光器を通して照射するので 多元素を同時に測定できません(各元素ごとに特定波長が違うため)。そこで、特定の多元素を測定したい(同時測定での作業短縮、下準備の工程削減など)をご希望の方には炎光光度計をオススメしております。
【炎光光度計の簡易メカニズム図】
お取扱してる炎光光度計のページは「こちら」
蛍光光度計とは?
蛍光光度計を説明する前にまず簡易メカニズム図からご覧ください。
【蛍光分光光度計の簡易メカニズム図】
この検出器が2つあるのが蛍光光度計の特徴です。まず蛍光光度計の「蛍光」はオフィスの蛍光灯とは違います。(同じ漢字ですが…)「蛍光とは?:光エネルギーを吸収した分子は不安定状態のため、通常は熱エネルギーを放出して安定状態に戻ろうとします。このとき発生する光が蛍光です。」この発生した蛍光を検出器が数値化します。しかし、試料によって蛍光しやすい波長が異なります。そこで、力を発揮するのが励起側分光器です。励起側の分光器が蛍光しやすい波長の光(励起光)を抽出し、試料に照射することでより効率の良い蛍光現象を発生させることができます。
機種選別の一例として、ある試料に複数の吸光波長が同じ成分(α・β)が含まれる時、分光・原子吸光光度計はオススメできません。(吸光度で濃度を判断する機種のため、成分は違うのに全く同じ結果が出てしまう)。しかし、その成分の蛍光波長(発光)が違えば、蛍光波長で特徴の差を判別することが可能です。なので、単一成分の試薬を準備する必要がなくなります。また、低濃度の試料の場合、分光・原子吸光光度計より高い効果を発揮します。
便利だなと思う蛍光光度計にも欠点はあります。
①物質の多くは蛍光しないものもあり、蛍光(発光)分析をする蛍光光度計はこの物質には不向きです。
②高濃度の試料は励起光・蛍光も吸収してしまい正しい数値が検出できない。
③製品ごとに蛍光強度が違うためほかの製品との蛍光強度比較は難しいです。
お取扱してる蛍光光度計のページは「こちら」
最後に
ご購入検討材料の比較表が欲しいとの声が多数あったので更新してみました!
検出法 | 感度 | イニシャル コスト |
ランニング コスト |
光源ランプ交換 |
他元素 |
備考 |
|
分光 光度計 |
吸光度 | 〇 | ¥ | ¥ | 要 | × | 光源により 紫外測定可 |
原子吸光 光度計 |
吸光度 | 〇 | ¥¥¥ | ¥¥ | 要 | × | ゼーマン方式あり |
炎光 光度計 |
炎色反応 | 〇 | ¥ | ¥ | 不要 | 〇 | 連続試験可能 |
蛍光 光度計 |
蛍光度 | ◎ | ¥¥ | ¥ | 要 | 〇 | ウラン 測定可能 |