オガワ精機株式会社 国内第二営業部 

炎光光度計

【オススメ対象商品】


【炎光光度計 OSK 55XC750シリーズ】

炎光光度計 モデル比較表

上記の炎光光度計の製品別の特徴につきましては下記の表をご参照ください。

炎光光度法の原理


炎光光度法は、アルカリ金属やアルカリ土類金属が炎で熱解離されて原子化するという性質を利用した基本的な定量分析の手法の一つです。

生成された原子は更に高エネルギーレベルに励起されます。 これらの励起された原子は基底状態に戻る際に電磁スペクトラムの可視域で発光します。

図1 炎光光度法に関連するプロセス 

炎から発光された光線の波長はそれぞれ以下の特徴を持ちます。


図2.同等濃度の元素からの発光強度と波長域

これらの光線の発光強度はその瞬間に炎の中に存在する各種類の元素の絶対量におおよそ比例します。基底状態に戻る原子の数は励起された原子の数、即ち試料の濃度に比例します。この比例関係は低濃度域のみで有効です。 


発光された光線は光学フィルターで分光され、さらに光センサーで電気信号に変換されます。最も単純な炎光光度計は下記の基本的な要素で構成されます。


  1.   1.一定の形状かつ温度で維持された炎(図4 参照)

  2.   2.一定の速度で均質な溶液を炎に持ち込む手段:ネブライザーと混合チャンバー(図4 参照)

  3.   3.外部から放出される光線の波長を測定する目的で分光する手段:単純なカラーフィルター(干渉タイプ)(図4 参照)

  4.   4.炎からの発光の強度を測定する手段:検出器/光センサー (図4 参照)


図3 ある産業分野でのナトリウム濃度の較正曲線の例
図4 炎光光度計の要素

炎光光度計によるアルカリ金属やアルカリ土類金属の分析には以下二点の長所があります。



  1.   1)他の元素が励起される温度より低い温度で原子が励起された状態に到達する。


  2.   2)特徴的な波長は幅の広い分光によって容易に他の元素からの特定が可能となる。



ガス混合 温度 (°C)
Acetylene/Oxygen アセチレン/酸素 3,100 – 3,200
Acetylene/Nitrous Oxide アセチレン/亜鉛化窒素 2,900 – 3,000
Natural gas/Oxygen 天然ガス/酸素 2,700 – 2,800
Hydrogen/Oxygen 水素/酸素 2,500 – 2,700
Acetylene/Air アセチレン/大気 2,100 – 2,400
Hydrogen/Air 水素/大気 2,000 – 2,100
Propane/Air プロパン/大気 1,900 – 2,000
Butane/Air ブタン/大気 1,300 – 1,900
Natural Gas/Air 天然ガス/大気 1,700 – 1,800

表1 種々のガス混合による到達温度域


ナトリウム、カリウム、リチウム、バリウム、カルシウムは通常1500-2000℃の低温で測定(炎色反応)されます。BWB炎光光度計はプロパン/大気、ブタン/大気、またはプロパン・ブタン混合ガス/大気の組み合わせで動作する様に設計されています。


元素ごとの波長特性


ナトリウムが炎の中で可視光域の黄色を発色することは広く知られています。表2はBWB炎光光度計で測定可能なアルカリ金属とアルカリ土類金属の混合物の元素ごとにどの様な色を発色するかを示しています。

元素 発光波長 (nm) 炎光色
バリウム (Ba) 515 * 黄緑色
カルシウム (Ca) 622 ** 橙赤色
リチウム (Li) 670 深紅色
カリウム (K) 766 淡紫色
ナトリウム (Na) 589 黄色

* バリウム(Ba)はカルシウム(Ca)554nmからの干渉を避けるため、515nmで測定しています。

** カルシウム(Ca)は水酸化カルシウム622nmの範囲で測定しています。しかし主となる発光波長は423nmです。


炎光光度計 測定の準備


以下はBWB炎光光度計の分析に必要な器具や試薬の例になります。


  1.   1) BWB炎光光度計
  2.   2) プロパンガス(またはブタンガス、都市ガス)
  3.   3) 電源(AC90~250V)
  4.   4) 試薬(例:Na,K,Li,10000ppm)
  5.   5) 希釈用フラスコ
  6.   6) ガラスビーカーおよび試験に適した容器
  7.   7) 純水および脱イオン水
  8.   8) 界面活性剤

注意:サンプル準備には次のような研究機器(例:遠心分離機、電気炉、ろ過装置など)を用いることが多いですが、医療分野では希釈器を用いるケースもございます。



産業用分析で使用されやすいppm(parts per million)とは対照的に、医療分野のサンプル濃度はmmol/l(Millimoles per litre)などが使われます。各単位の関係性は下記のとおりです。


ppm = A x mmol/l

mmol/l = ppm ÷ A

where A = atomic mass of the atom being analysed


Aは原子質量数