OSK 33UM Fusion-TOC 全有機炭素(TOC)分析装置 (紫外線/ペルオキソ二硫酸酸化法採用)

この全有機炭素(TOC)分析装置 は、紫外線・ペルオキソ二硫酸酸化法の採用と静圧濃縮(SPC)技術を導入することで、従来測定が困難とされた原材料に対しても優れた分析能力を発揮します。

型番:OSK 33UM Fusion-TOC

◎特徴◎

  • 紫外線/ペルオキソニ硝酸酸化法によりCO2を生成しNDIRセンサーで捕捉。
  • 静圧濃縮(SPC)技術でCO2を効率よくキャリアガスに載せ正確なが制御可能。
  • 標準液またはサンプルからの自動希釈機能搭載。
  • インテリジェント希釈機能(Intellidilution):サンプルを自動的に希釈し、校正範囲内に戻す機能を搭載。
  • 直感的な操作感で分析プロセスを自動化できる制御用ソフトウェア付属です。
  • 21 CFR Part 11 機能:電子記録および電子署名(ERES)、監査証跡、ユーザーアカウント管理を含む。
  • エクスポート可能なレポート:メタデータやバージョン管理を含むユーザー定義形式に対応。
  • 無人運転による自動校正モニタリング。
  • 専用マスフローコントローラ(MFC:オプション)利用可能。
  • 設定済みメソッド:製薬用、飲料水用、廃水用の分析メソッドを搭載。

A. オートサンプラー
Fusion には標準 40mL バイアルで75ポジションの一体型オートサンプラーが搭載されており、ロボットアームと回転板によって自動的にサンプルの位置選択が行われます。

B. UV 酸化リアクター
UV リアクターはガラス容器と UV 光源で構成されています。サンプルとペルオキソ二硫酸試薬をリアクターに投入し、試薬と UV 光の組み合わせによってサンプル中の炭素を酸化します。Teledyne LABS の改良型 UV リアクターは、サンプルの使用量を抑えつつ、水サンプルと酸化剤に対する放射線相互作用を改善しています。

注記:フロントドアを取り外した状態の Fusion

C. ハロゲン除去器
CO₂ を測定する検出器はハロゲンの影響を受ける可能性があります。分析誤差を防ぐために、ハロゲン除去器は CO₂ が検出器に入る前に塩素などのハロゲンを除去します。

D. セプタム穿刺針
セプタム付きのバイアルキャップを使用でき、サンプルが大気に曝露される時間を最小化します。

パーミエーションドライヤー

E. シリンジおよびバルブ
シリンジドライバーは精密計量機構で、液体の吸引と分注を行います。容量範囲は 125µL から 25mL、サンプル供給量は適用されるメソッドに応じて 2mL から 10mL です。

F. 水分制御システム(MCS
ミストトラップとパーミエーションドライヤーで構成され、サンプル中の水分を除去します。酸化後、キャリアガスが CO₂ と水蒸気を UV 反応室から掃き出し、CO₂ はまずミストトラップを通過し、大部分の水分が除去されます。その後、ガスはパーミエーションドライヤーに送られ、残りの水分が取り除かれます。

G. IC スパージャー
ガラス焼結容器で、無機炭素(IC)をサンプルからパージして分析準備を行います。酸を添加した後、パージガスがスパージャーを通過し、IC をサンプルから除去します。Fusion は IC 専用モード、TC-IC モードの両方で IC を報告可能であり、TOC モードでは大気中に放出することもできます。

  

マスフローコントローラ(MFC)

MFCは、運転モードに応じて流量または圧力を制御します。各サンプルごとの試験間のクリーンアップ時には高流量を可能にし、各サンプルに応じてスパージ流量を最適化できます。MFCにより、機器はサンプルを測定するたびに圧力を記録してシステムの完全性を自動的に検証します。また、MFCはバルブの気密性を確認するための空気圧インテグリティテストも実施します。

インテリジェント希釈機能(Intellidilution)

インテリジェント希釈機能は、サンプルが校正範囲外にある場合に自動的に希釈して校正範囲内に戻します。また、ユーザが設定した範囲に基づき個別の分析ニーズに対応することも可能です(非希釈法時のみ)。

自動校正

溶液が一種類であれば、システムはユーザーの濃度線形化要件に基づき最終体積を自動的に希釈します。これにより、複数の手動による校正標準濃度の調製が不要となります。この機能により、人為的エラーの発生可能性を排除し、作業時間を最小化できます。

静圧濃縮(SPC)

サンプルの酸化後、キャリアガスで加圧されることで、サンプル全体が測定対象となり検出器に送られます。その後、非分散型赤外線(NDIR)検出器により二酸化炭素濃度が測定されます。このセンシング技術により、Fusion は現代の高度な分析要求に対応する新たな検出レベルを実現しています。

【動作原理】

  • Fusion は、水やその他の溶液中の炭素含有量を測定するよう設計されています。
  • 安全で実績のある UV 促進ペルオキソ二硫酸酸化法 により、炭素系物質を二酸化炭素(CO₂)に酸化し、その生成物 をNDIR 検出器 で測定することで、0.2 ppbC から 4,000 ppmC の幅広い濃度範囲で高感度な測定が可能です。
  • 設定済みの装置メソッドを選択することで、さまざまな種類の炭素を個別に測定できます。
  • 検出可能な炭素量:
    • 総炭素(Total Carbon, TC)
    • 無機炭素(Inorganic Carbon, IC)
    • 全有機炭素(Total Organic Carbon, TOC = TC − IC)
    • 非パージ有機炭素(Non-Purgeable Organic Carbon, NPOC またはスパージ法による TOC)
  • NPOC 法による TOC 測定では、Fusion は シリンジドライバー と 7ポートバルブ を使用して、 サンプルおよび試薬を正確にリアクターに投入します。その後、キャリアガスにより反応生成物(CO₂)は サンプル検体から 排気または NDIR 検出器 へと以下の順序で処理されます:
    • 1. IC スパージャーでの酸添加とスパージによる IC および POC の除去と排気;
    • 2. IC 除去後、スパージされたサンプルの一部を UV リアクターに投入し、以下の化学反応により ペルオキソ二硫酸試薬を添加して有機炭素を酸化:
      • a. フリーラジカル酸化
      • b. 有機物の励起
      • c. 有機物の酸化
  • ステップ 2 で生成した酸化生成物は CO₂ 選択性の NDIR 検出器 に送られます。
  • NDIR からの出口バルブは閉じられ、検出器内を加圧します。検出器内のガスが平衡に達した後、 CO₂ 濃度が分析されます。NDIR 内でのサンプルガス流の加圧(静圧濃縮)により、感度と精度が向上します。
  • サンプル中の酸化生成物は一度の測定で全て測定され、従来の方法と比較して優れた精度を提供します。
  • 検体の酸化レベルにより出力信号は、キャリアガス中の CO₂ 濃度に比例します。
  • 制御用PC上の TOC TekLink ソフトウェア を用いて、上記の操作過程を制御し、 検出器信号を処理、線形化された多点校正データに基づきサンプルの最終濃度を出力します。
静圧濃縮により実現される優れた直線性

◎仕様◎

 

型番 OSK 33UM Fusion-TOC
分析手法 UV-ペルオキソ二硫酸による光化学酸化
検出方式 非分散型赤外線(NDIR)+静圧濃縮(SPC)
分析モード TOC (NPOC), TC- IC, TC, IC
検出範囲 検出限界:0.2 ppb
最大測定濃度:4,000 ppm(サンプル量および希釈に依存)
キャリーオーバー:≤1.0% クロスコンタミネーション
精度※:≤1.0% RSD、±2 ppb または ±0.02 µgC
(中間標準値での7回繰返し測定のうち大きい方)
※分析性能は、試験水、試薬・ガスの純度、サンプル容器の清浄度、サンプルマトリックス、ガス圧力調整器の精度・清浄度、操作技術に依存します。
※RSD(%)はブランク差し引き後の精度計算に基づくため、測定値は低めに出るが、感度と正確度が向上
試験時間 TOC分析:通常 4–8 分
TOC三重測定:通常 12–22 分
制御用PC OS要件 PC、Windows® 7 Professional 以上対応
制御用ソフトウェア TOC Teklink ソフトウェア:ラボコンプライアンス対応ツール(21 CFR Part 11 対応)
データ処理 ・業界標準メソッドおよびカスタムユーザーメソッド対応
・スケジュール割込みによる優先サンプル測定可能
・NDIR 検出器データのリアルタイムおよび履歴グラフ表示
・レポートの XML、CSV、HTML フォーマット出力
・データ再計算、外れ値除去、精度基準管理
・複数の試験スケジュールの履歴を一つのグラフに統合して確認可能
校正 ・単一ストック標準液またはユーザー校正標準液による自動校正
・多点校正(線形・二次)および自動ブランキング
・1つの校正曲線・ブランクで装置全範囲をカバー
・自動チェック標準:単一ストックまたはユーザー標準液
    – 判定基準:合格/不合格
    – 不合格時の制御:停止/再校正/継続
その他の機能 ・自動システム適性チェックと性能評価
・サンプル/標準液の自動希釈
・バリデーションサポートパッケージ追加可能
・設定済みポイント&クリックメソッド設定
・流量・圧力のプログラム制御および監視
・自動リークチェック
・自動停止/待機モード
・繰返しごとにリアクターを自動洗浄する自己洗浄サンプル処理
・インテリジェント希釈機能(Intellidilution)
公式測定法 EPA 415.1- 415.3, 9060A, Standard Method 5310C, ASTM D4779 および D4839, and prENV 13370, Cleaning Validation / USP TOC Method <643> / EP 2.2.44 / JP
キャリアガス要件 99.99% 高純度窒素ガスシリンダー または 99.9% 高純度窒素ガス発生器
キャリアガス入口圧力 65~100 psi
寸法(W×D×H) 45.7 x 62.2 x 81.3 cm

◎標準構成品◎

  • OSK 33UM Fusion-TOC 全有機炭素(TOC)分析装置 (紫外線/ペルオキソ二硫酸酸化法採用) 本体
  • 和文取扱説明書

◎オプション◎

マスフローコントローラー

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